私は毎年必ず東京国際映画祭で20本前後の作品を観賞します。ただし、
2022年で35回を数える歴史ある映画祭ながら、
なかなか盛り上がっていないのが現状です。
世界のスターが来ない、コンペティション作品に欧米の有力作品が応募しない、
独自色がない、釜山国際に押されている、などと多くの批判的意見がありますが、
日本では最大の国際映画祭であることに間違いなく、また、個人的には
見どころ満載と思っております。どのように国際映画祭を楽しめば良いか解説します。
東京国際映画祭とは
開催時期・開催場所
毎年10月下旬から11月上旬にかけて開催される
日本で唯一の国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の映画祭です。
2020年までは六本木のTOHOシネマズなどで開催していましたが、
2021年より日比谷・有楽町での開催に変更されています。
プログラム構成
プログラマーが矢田部吉彦から市山尚三に交代し作品嗜好が変わったと言われて
いますが、プログラム構成自体には大きな変更はありません。
〇コンぺティション:世界からの応募作品を厳正な審査により上映
〇アジアの未来:アジアの新鋭監督作品を世界に先駆けて上映
〇ガラ・セレクション:日本公開前の国際映画祭等で話題となった作品の上映
〇ワールド・フォーカス:国際映画祭注目作・未公開最新作の上映
〇Nippon Cinema Now:1年を対象に海外に紹介すべき日本映画の上映
他にアニメ、ユース、日本映画クラシックス等があります。
2022年の東京国際映画祭(TIFF)について
第35回のTIFFはどのようなものだったのでしょうか。
オープニングセレモニー
まず、オープニングのレッドカーペットは東京ミッドタウン日比谷前の日比谷仲通りに
もうけられ、2年連続フェスティバルアンバサダーに選ばれた橋本愛をはじめ
二宮和也、柴咲コウ、大泉洋、山田杏奈、永瀬正敏、森山未來、鈴木亮平、宮沢氷魚
稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、眞栄田郷敦、加藤雅也、広末涼子、寺島しのぶ、
豊川悦司、永野芽郁、戸田恵梨香、井上真央、柳楽優弥、常盤貴子、前田敦子・・・
と豪華メンバーが登場しました。ただコロナ渦ということもあり、外国からの
有名俳優はほぼゼロ状態でした。
オープニングセレモニーは昨年より東京宝塚劇場で開催され、宝塚歌劇OG4名が
歌とダンスを披露し、橋本愛に二宮和也も登壇しました。
上映場所
映画上映はTOHOシネマズ日比谷/シャンテ、シネスイッチ銀座、
ヒューマントラストシネマ有楽町、丸の内TOEI、丸の内ピカデリーと
複数の映画館で行なわれました。
参加者はわかりますが、映画館の移動が意外に面倒くさかったですね。
六本木時代ではTOHOシネマズ六本木を全開放して上映していましたので、
TOHOシネマズ日比谷の全開放を期待したいところです。
特筆すべき作品
まず、ガラ・セレクションですが、
アカデミー作品賞候補のイニシェリン島の精霊
ノア・バームバック監督のホワイト・ノイズ
オリビア・ワイルド監督のドント・ウォーリー・ダーリン
デビット・O・ラッセル監督のアムステルダム
等の日本先行上映は、なかなかの選考でしたね。
Nippon Cinema Nowでは、
キネマ旬報日本映画ベストテン1位&読者選出日本映画ベストテン1位に輝いた
ケイコ 目を澄ませてが先行上映されました。
そしていろいろ言われるコンペティションですが、東京グランプリ受賞作品
ザ・ビーストは観賞しましたがとても見ごたえある作品でした。
ガラ・セレクション
それでは、31~34回のガラ・セレクション(過去は特別招待作品と言っていました)を見てみましょう。
第31回
アリー/スター誕生
女王陛下のお気に入
ROMA/ローマ
アカデミー作品賞候補の3作が先行上映されました。
また、マイケル・ムーア監督の華氏119、
インド映画 パッドマン5億人の女性を救った男
が上映されました。
日本映画では、秀作の 人魚の眠る家
山田孝之&佐藤健の ハード・コア
が上映されました。
第32回
アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
フォードvsフェラーリ
マリッジ・ストーリー
アカデミー作品賞候補の4作が先行上映されました。
また、邦題が決まる前の カセットテープ・ダイアリーズ
(原題 Blinded by the Light)が上映されました。
日本映画は豊富で
男はつらいよ お帰り寅さん カツベン!
決算!忠臣蔵 殺さない彼と死なない彼女
ひとよ
と多数の話題作が先行上映されました。
第33回
ノマドランド
はアカデミー賞作品賞を受賞しました。
燃ゆる女の肖像
は フランス セリーヌ・シアマ監督作品で、
カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しました。
新感染半島 ファイナル・ステージ
は 大人気の 韓国 新感染ファイナル・エクスプレス の続編です。
日本映画は
あのこは貴族
サマーフィルムにのって
滑走路
等の秀作が先行上映されました。
第34回
タミー・フェイの瞳
はジェシカ・チャステインがアカデミー主演女優賞を受賞しました。
パワー・オブ・ザ・ドッグ
はジェーン・カンピオンがアカデミー監督賞を受賞しました。
Hand of God-神の手が触れた日-
ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞しました。
他にもエドガー・ライト監督の ラストナイト・イン・ソーホー
カンヌ映画祭審査員賞受賞の MEMORIAメモリア
が先行上映されました。
Nippon Cinema Now等の日本映画先行上映
31~34回の日本映画先行上映は次の通りです。
第31回
コンペ部門で、稲垣吾郎の 半世界
今泉力哉監督の 愛がなんだ
日本映画スプラッシュで 鈴木家の嘘、メランコリック
が先行上映されました。
第32回
コンペ部門で、稲垣吾郎の ぱるぼら
足立紳監督の 喜劇 愛情物語
日本映画スプラッシュで タイトル、拒絶
猿楽町で会いましょう テイクオーバーゾーン
が先行上映されました。
第33回
コロナ渦初年度により、コンペ部門が中止となり、
ガラ・セレクション以外に注目の日本映画はあまりありませんでした。
強いてあげると、のんの 私をくいとめて
佐々木、イン、マイマイン ですね
第34回
コンペ部門で、松居大吾監督の ちょっと思い出しただけ
Nippon Cinema Nowで、
彼女が好きなものは、川っぺりムコリッタ
あたりが先行上映の話題作でした。
コンペティション
過去の東京グランプリ受賞作品は
第31回 | フランス アマンダと僕 |
---|---|
第32回 | デンマーク わたしの叔父さん |
第33回 | コロナのため中止 |
第34回 | コソボ他 ヴェラは海の夢を見る |
第35回 | スペイン/フランス ザ・ビースト |
この5年は、欧州映画がグランプリを獲得していますが、欧州映画の東京国際映画祭応募は2線級が多いと言われる中で独占しており、アジアの相対的レベルの低さか、それとも忖度があるのか不明です。
ただ、欧米映画をよく観ている身のため、グランプリは相応の作品が獲得しています。
コンペの賞は審査委員の趣味嗜好に影響されますので、それを感じるのも楽しみの一つですね。
チケットの入手について
チケットは開催日の2週間前の土曜日に東京国際映画祭のホームページで
販売します。販売時にはサイトに繋がりにくくなり、複数枚購入する場合
一日がかりの作業となってしまいます。特に有名俳優の舞台挨拶のある
日本映画や評判良いガラ・セレクション作品はすぐに完売してしまいますので、
購入の順番の留意も必要です。
コンペティション部門の日本映画も即完売が多いのですが、最近数年間は観客賞を
受賞するケースが多いので、最終日に上映する観客賞受賞作品を購入
しておけばかなりの確率で観賞することが可能です。
(観客賞は観客が鑑賞後投票して集計するため、押しの俳優がでている作品が
受賞しやすくなりますね)
過去5回の観客賞は
第31回 | 半世界 日本映画 稲垣吾郎主演 |
---|---|
第32回 | 動物だけが知っている フランス映画 |
第33回 | 私をくいとめて 日本映画 のん主演 |
第34回 | ちょっと思い出しただけ 日本映画 伊藤沙莉主演 |
第35回 | 窓辺にて 日本映画 稲垣吾郎主演 |
以上まとめてみましたが、とにかく1作でも参加してみてください。楽しいですよ!
①東京国際映画祭は日本最大の映画祭であり、
映画が好きなら参加すべき。
②翌年に上映するアカデミー賞候補作品等が先行して
観賞できる。
③日本映画も秀作が目白押しで、どれを観ても高い水準。
④毎年10月下旬の東京国際映画祭を心待ちにしよう!