2023年3月10日の日本アカデミー賞の発表により、
ほぼ2022年の日本映画の賞レースは終了しました。
評判の良いものから悪いものまで、様々な映画が上映されましたが、
2022年の賞レースを中心に日本映画の評価についてまとめてみます。
日本アカデミー賞
毎年日テレで放映される日本映画の映画賞です。
今年の優秀作品賞は以下の5作品です。
作品名 | 配給 | 主演 | 映画com | Filmarks | キネ旬 |
---|---|---|---|---|---|
ある男 | 松竹 | 妻夫木聡、安藤サクラ | 3.7 | 3.9 | 2位 |
シン・ウルトラマン | 東宝 | 斎藤工、長澤まさみ | 3.5 | 3.6 | 58位 |
月の満ち欠け | 松竹 | 大泉洋、有村架純 | 3.2 | 3.4 | 96位 |
ハケンアニメ! | 東映 | 吉岡里穂、中村倫也 | 3.9 | 3.9 | 6位 |
流浪の月 | ギャガ | 広瀬すず、松坂桃李 | 3.8 | 4.0 | 14位 |
いつものように大手配給会社中心の選考であり、
松竹2、東宝1、東映1となっています。
最優秀作品賞は「ある男」でした。この候補の中であれば、想定内の完勝ですね。
作品、監督、脚本、主演男優、助演男優、助演女優、録音、編集8部門の受賞でした。
また、妻夫木聡、窪田正孝、安藤サクラ と俳優陣はほぼ独占でした。
主演女優賞は、東京国際映画祭初上映した「ケイコ 目を澄ませて」の
岸井ゆきのが受賞しました。
一方、マイナー配給会社であり作品賞には候補にもなりませんでした。
逆に、興収的には成功したが評価は2分する「シン・ウルトラマン」と、
評価の低い「月の満ち欠け」が大手配給会社且つ有名俳優出演により
作品賞候補になりましたね。
TAMA映画祭
最初にスタートする主要映画祭で10月から9月の間に公開された作品が対象です。
作品名 | 配給 | 賞 | 映画com | Filmarks | キネ旬 |
---|---|---|---|---|---|
LOVE LIFE | エレファントハウス | 最優秀作品賞 | 3.6 | 3.9 | 29位 |
ハケンアニメ! | 東映 | 最優秀作品賞 | 3.9 | 3.9 | 6位 |
メタモルフォーゼの縁側 | 日活 | 特別賞 | 4.0 | 4.1 | 35位 |
恋は光 | ハピネットファントム | 特別賞 | 4.0 | 3.9 | 47位 |
映画評論家から評価の高い「LOVE LIFE」 「ハケンアニメ!」
が受賞しました。個人的にもこの2作品は極めて順当と感じます。
また、個人賞は男優女優とも「流浪の月」が受賞しています。
報知映画祭
報知新聞が主催する映画祭です。12月から11月の間に公開された作品が対象です。
作品名 | 配給 | 賞 | 映画com | Filmarks | キネ旬 |
---|---|---|---|---|---|
ある男 | 松竹 | 作品賞 | 3.7 | 3.9 | 2位 |
さがす | アスミックエース | 監督賞 | 3.6 | 3.9 | 9位 |
沈黙のパレード | 東宝 | 主演男優賞 | 3.5 | 3.7 | 96位 |
前科者 | 日活 | 主演女優賞 | 3.8 | 3.7 | ‐ |
この映画祭は一般大衆に人気のある映画を選考するケースが多く、個人賞は特に人気俳優を選びます。(2022年は福山雅治、有村架純)
ここで「ある男」が作品賞に選出され、
賞レースの本命に名乗りを上げました。
また、「さがす」はマイナー配給ですが片山慎三が監督賞を受賞しました。
「さがす」はTAMA映画祭でも監督賞を受賞しています。
片山慎三監督は前作「岬の兄妹」の評判も良く期待の監督です。
毎日映画コンクール
毎日新聞、スポーツニッポンが主催する映画祭。1月から12月の間に公開された作品が対象です。
作品名 | 配給 | 賞 | 映画com | Filmarks | キネ旬 |
---|---|---|---|---|---|
ケイコ 目を澄ませて | ハピネットファントム | 日本映画大賞 | 3.8 | 4.0 | 1位 |
夜明けまでバス停で | 渋谷プロダクション | 日本映画優秀賞 | 3.6 | 3.6 | 3位 |
1946年から開催している歴史ある映画賞。受賞作品も骨太な傑作が多い印象です。
ようやく「ケイコ 目を澄ませて」が作品賞受賞しました。
また、制作・配給ともにマイナーな作品である
「夜明けまでバス停で」が優秀賞を受賞しました。
毎日映画コンクールらしい選出ですね。
ブルーリボン賞
スポーツ新聞7紙による映画賞。1月から12月の間に公開された作品が対象です。
作品名 | 配給 | 賞 | 映画com | Filmarks | キネ旬 |
---|---|---|---|---|---|
ある男 | 松竹 | 作品賞 | 3.7 | 3.9 | 2位 |
PLAN75 | ハピネットファントム | 監督賞 | 3.6 | 3.7 | 6位 |
この賞は話題性のある作品を選ぶ傾向があります。
「シン・ゴジラ」「カメラを止めるな!」「翔んで埼玉」などを作品賞に選んでます。
監督賞にカンヌで入選した「PLAN75」の早川千絵監督を選びましたね。
キネマ旬報ベストテン
キネマ旬報も毎日映画コンクールと同様 1位に
「ケイコ 目を澄ませて」を選出しました!
2位は日本アカデミー賞作品賞の「ある男」。
3位はこれも毎日映画コンクール選出の「夜明けまでバス停で」です。
4位。5位は渋い2作品を選び、映画オタクベストテンの面目躍如ですね。
順位 | 作品 | 配給 | 映画com | Filmarks |
---|---|---|---|---|
1位 | ケイコ 目を澄ませて | ハピネットファントム | 3.8 | 4.0 |
2位 | ある男 | 松竹 | 3.7 | 3.9 |
3位 | 夜明けまでバス停で | 渋谷プロダクション | 3.6 | 3.6 |
4位 | こちらあみ子 | アークエンタテインメント | 3.4 | 4.0 |
5位 | 冬薔薇(ふゆそうび) | キノフィルムズ | 3.2 | 3.5 |
メドックの2022年日本映画ベストテン
それでは2022年日本映画の独断ベストテンです。
順位 | 配給 | 映画com | Filmarks | キネ旬 | |
---|---|---|---|---|---|
第一位 | LOVE LIFE | エレファントハウス | 3.6 | 3.9 | 29位 |
第二位 | ハケンアニメ! | 東映 | 3.9 | 3.9 | 6位 |
第三位 | ある男 | 松竹 | 3.7 | 3.9 | 2位 |
第四位 | 神は見返りを求める | パルコ | 3.7 | 3.8 | 58位 |
第五位 | 愛なのに | SPOTTED PRODUCTIONS | 3.9 | 3.9 | 28位 |
第六位 | 恋は光 | ハピネットファントム | 4.0 | 3.9 | 47位 |
第七位 | ヘルドッグス | 東映 | 3.7 | 3.7 | 58位 |
第八位 | 窓辺にて | 東京テアトル | 3.8 | 4.0 | 20位 |
第九位 | 山女 | アニモプロデュース | – | – | – |
第十位 | 月の満ち欠け | 松竹 | 3.2 | 3.4 | 96位 |
まず、「LOVE LIFE」「ハケンアニメ!」「ある男」の3作品は文句なしの良作です。
「愛なのに」「窓辺にて」は恋愛映画の旗手
城定秀夫、今泉力哉監督の作品です。
「恋は光」は名作「殺さない彼と死なない彼女」の小林啓一監督の作品です。
恋愛映画も日本特有のレベルの高い作品が増えています。
〇2022年の日本映画は見ごたえのある作品が多数ありました。
〇日本アカデミー賞は「ある男」の完勝でした。
〇演技では「ケイコ 目を澄まして」の岸井ゆきのが圧巻でした。
〇「LOVE LIFE」「ハケンアニメ!」「ある男」が3強です。
〇「愛なのに」「恋は光」「窓辺にて」の恋愛映画も素敵です!