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韓国映画を牽引する監督たち 本当にワクワクする韓国映画

非英語作品で初めて第92回アカデミー賞作品賞及び韓国映画で初めて第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを「パラサイト 半地下の家族」が受賞しました。

また、第75回カンヌ国際映画祭では「別れる決心」が監督賞を受賞しました。このように今韓国映画の評価が世界的にもとても高くなっています。

心に響く作品を作る、もしくは個人的に好きな映画監督についてピックアップしていきたいと思います。

ポン・ジュノ

まずは、ポン・ジュノ監督です。

2019年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール、翌年のアカデミー賞作品賞受賞した「パラサイト 半地下の家族」の監督です。

1969年大邱(てぐ)市生まれ、延世大学出身です。

ポン・ジュノ監督の観るべき作品を紹介します。

殺人の追憶

2003年に公開されたソン・ガンホを主演のクライムサスペンス映画。

ソウル近郊で女性の連続殺人が発生、地元とソウル市警の刑事が対立しながら捜査し容疑者を逮捕するが真実を問うヒューマンドラマです。

韓国の連続殺人事件を題材にした映画で国内で大ヒット。韓国の2大映画祭のひとつである第40回大鐘賞で最優秀作品賞を受賞しました。

また、ソン・ガンホは男優主演賞を受賞しています。

この作品でポン・ジュノ監督の名が韓国国内中心に知れ渡りました。

グエムル‐漢江の怪物-

続いて2006年に公開された、またソン・ガンホを主演としたモンスター映画です。

漢江(ハンガン)に現れた怪物と戦う家族のサスペンスストーリーです。ただ、ベトナム戦争でアメリカが使用した化学兵器が念頭にある題材であり、反米的要素も含まれています。

韓国国内で大ヒットを記録し、韓国の2大映画祭のひとつである第27回青龍映画賞で最優秀作品賞を受賞しました。

また、アジア・フィルム・アワードの第1回作品賞を受賞しています。

母なる証明

2009年に公開された、キム・ヘジャウォンビンを親子として演出したヒューマンドラマです。

貧しいながら平穏に暮らしていた親子であったが、突然息子が殺人の容疑者として警察に捕まってしまう。息子の無実を信じた母親の狂気の愛を描いた物語。

第30回青龍映画賞で最優秀作品賞を受賞。第62回カンヌ国際映画祭 ある視点部門で上映されました。

 

母なる証明

オクジャ

2017年に公開された、韓国・米国合作の動物アドベンチャー。

ミランド社が遺伝子操作によりスーパーピッグを世界各国で育成するコンテストを実施する。その一匹は韓国の山村で少女とその祖父にオクジャという名で育てられていたが、ニューヨークに輸送される。その少女と動物愛護団体AFLがオクジャを救うために奮闘する物語です。

Netflix配信映画として第70回カンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品されたが、劇場公開しない映画に対して議論が起こった作品です。(その時の審査委員長はペドロ・アルモドバルです)

パラサイト 半地下の家族

2019年に公開された世界的に高い評価を受けた社会派サスペンス映画です。

ソン・ガンホとは4度目のタッグとなりました。

家族全員が失業し貧しい暮らしをしていたが、長男が金持ち一家の家庭教師となりその後家族全員が金持ちの豪邸に寄生することになるが、それが悲劇を生み出す犯罪ドラマです。

第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、外国長編映画賞を受賞、そして国際映画賞をことごとく受賞し、輝かしい実績を残しました。

ナ・ホンジン

続いて ナ・ホンジン監督です。

2008年の初の長編映画「チェイサー」が韓国で大ヒットとなり、第61回カンヌ国際映画祭の特別招待作品となりました。

1974年谷城(こくそん)郡生まれ、韓国芸術総合学校(韓国の東京芸大)卒業です。

ナ・ホンジン監督の観るべき作品を紹介します。

チェイサー

2008年に公開された、キム・ユンソクハ・ジョンウを主演とした、クライムサスペンス映画です。

元刑事が経営するデリヘルから次々と女性が失踪。客の若者が容疑者として逮捕されるも、証拠不十分で釈放される。そらに執念をもって追跡するが。。。韓国で実際に起きた連続殺人事件を題材にした映画です。キム・ユンソクとハ・ジョンウの圧倒的な演技力により、恐怖の底に落とされそうですね。

ナ・ホンジン監督初の長編映画ながら、第45回大鐘賞の最優秀作品賞最優秀監督賞を受賞。他の韓国の映画祭でも特に監督賞は圧倒的強さでした。

チェイサー

哭声/コクソン

2016年に公開された、クァク・ドウォンファン・ジョンミン國村隼、が出演した、キリスト教的なホラー映画。

平和な谷城(こくそん)の村によそ者の男がやってきて、その後惨殺事件が多発していく。よそ者に國村隼、警察にクァク・ドウォン、祈祷師にファン・ジョンミン と豪華俳優がそれぞれ独特な演技で熱演。

第37回青龍映画賞で最優秀監督賞、また國村隼非韓国人で初めての青龍映画賞の助演男優賞、人気スター賞を受賞しました。また、カンヌ国際映画祭非コンペティション部門の招待作品となりました。大好きな作品です。

また、2021年タイとの合作のシャーマン的映画「女神の継承」が公開されました。

パク・チャヌク

パク・チャヌク監督です。

2003年の「オールド・ボーイ」が韓国で大ヒットとなり、第57回カンヌ国際映画祭のグランプリとなりました。

1963年ソウル生まれ、西江大学卒業です。

パク・チャヌク監督の観るべき作品を紹介します。

オールド・ボーイ

2003年に公開された、日本の漫画が原作の、復讐劇。

普通の生活を送っていた男性が突然誘拐されて、15年間監禁される。突然開放されたが、なぜ監禁されたか解き明かそうとする物語。主演のチェ・ミンシクの熱演が評判でした。

第57回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ(ちなみにこの時の審査委員長はクエンティン・タランティーノです)。韓国の2大映画祭、第24回青龍映画賞及び第41回大鐘賞ともに最優秀監督賞及び主演男優賞を受賞しています。

渇き

2009年に公開された、ソン・ガンホ主演の吸血鬼映画。

アフリカでのワクチン開発の実験のため輸血され吸血鬼になった神父が、幼馴染から夫を殺してほしいと頼まれる。アメリカとの合作。

第62回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。

お嬢さん

2016年に公開された、サラ・ウォーターズの小説を原作とし、日本統治時代を舞台にしたミステリー映画。

貧民街で育てられた少女が詐欺師と共謀し、令嬢から財産を奪い取ろうとするが、少女と令嬢が互いに惹かれあっていく。日本語のたどたどしさを差し引くと、監督による独特の映像美が世界的に評価されました。

第69回カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作品。第37回青龍映画賞においてキム・ミニキム・テリの女優陣がそれぞれ主演女優賞及び新人女優賞を受賞しました。

キム・テリは本作のオーディションでこの役を射止め、その演技力に注目が集まりました。最近では韓国ドラマの「二十五、二十一」の主演を演じ、高視聴率を獲得しています。

別れる決心

2022年に公開された、パク・チャヌクらしさ満開のミステリー映画。

男が山から転落死したが、刑事は事故ではなく妻による殺人の可能性が高いと考え捜査を行うが、だんだん刑事はその妻に惹かれていく。終盤の海辺の撮影とマーラーの曲は非常に印象的でした。

第75回カンヌ国際映画祭監督賞受賞。第43回青龍映画賞、第57回大鐘賞でともに最優秀作品賞を受賞しました。

イ・チャンドン

イ・チャンドン監督です。

世界三大映画祭の常連であり、カンヌ国際映画祭脚本賞、主演女優賞、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞等数多くの国際映画賞を受賞しています。

1954年大邱市生まれ、慶北大学卒業です。

イ・チャンドン監督の観るべき作品を紹介します。

オアシス

2002年に公開された、ソル・ギョング主演の社会派恋愛映画。

社会不適合の男と脳性麻痺の女が互いに惹かれあっていく恋愛ドラマです。

第59回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞。ちなみにソル・ギョングは同年別の作品(公共の敵)にて第39回大鐘賞主演男優賞も受賞しています。

シークレット・サンシャイン

2007年に公開された、韓国小説を原作とした、サスペンス映画。

夫を亡くした女性が、夫の故郷でピアノ教室を開き人生をやり直すが、事件が起きる。

第60回カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作品でありチョン・ドヨン主演女優賞を受賞しました。第28回青龍映画賞でも主演女優賞を受賞しました。

第2回アジア・フィルム・アワードでは作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞しました。

ポエトリー アグネスの詩

2010年に公開された、女子中学生集団レイプ事件の実話をもとに製作した映画。

認知症を発症する女の孫が女子中学生を暴行する事件を起こし女子中学生が自殺するが、事件について知った女はショックを受けその女子中学生について知ろうと行動する社会派ドラマです。

第63回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞、第47回大鐘賞最優秀作品賞、最優秀脚本賞等受賞しました。

その他の韓国映画監督

上記4監督以外にも、ベテランから新進の若手まで、韓国映画界は監督の層がとても厚いです。私が一押しの他の監督は次の通りです。

キム・ヨンファ

1971年冬ソナの舞台でもある春川(ちゅんちょん)市生まれ、中央大学卒業です。

2006年公開の「カンナさん大成功です!」でヒットし、2009年の「国家代表!?」はハ・ジョンウキム・ドンウクを配役しまた大ヒット、第46回大鐘賞、第30回青龍映画賞でともに最優秀監督賞を受賞しました。

そして、2017、2018年に「神と共に 第一章:罪と罰」「神と共に 第二章:因と縁」がハ・ジョンウチャ・テヒョンを主役に、累計動員数で2,700万人を超す大ヒットとなりました。

とても面白い作品ばかりでヒット作を連発するのもわかりますね。

ヨン・サンホ

1978年ソウル市生まれ、祥明大学卒業です。

ヨン・サンホと言えば2016年公開の「新感染 ファイナル・エクスプレス」ですね。ソウル発釜山行きのKTX(韓国の新幹線)でゾンビに遭遇するパニック映画です。

日本でも人気のコン・ユこの映画で一躍有名になったマ・ドンソクが共演しています。

とにかくスピードがあり面白く泣ける映画です。おすすめ!

(続編の「新感染半島 ファイナル・ステージ」はカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション、東京国際映画祭ガラ、等で上映されました。韓国ではコロナ渦ながらまずまずの動員人数でしたが、評価は賛否ありました。)

カン・ヒョンチョル

1974年済州(ちぇじゅ)島生まれ、龍仁大学卒業です。

2008年監督初作品「過速スキャンダル」で大ヒットし、第30回青龍映画賞新人監督賞を受賞、2作目の「サニー 永遠の仲間たち」もまたもや大ヒットし、日本でリメイク映画が作成されましたね。

2018年には「スウィング・キッズ」は朝鮮戦争時の捕虜収容所でのダンスチームを描いた作品で、感動作です。

チャン・フン

1975年生まれ、ソウル大学出身です。

2008年初監督作品「映画は映画だ」で評判を呼び、2017年に公開のソン・ガンホ主演の「タクシー運転手 約束は海を越えて」では海外からも評価を受け韓国で大ヒットし、第54回大鐘賞最優秀作品賞を受賞しました。

〇最近の韓国映画は、多くの優れた監督が世界でも評価の高い作品を制作しています。

〇特に、評価が高く面白い作品を制作している監督は、ポン・ジュノナ・ホンジンパク・チャヌクイ・チャンドン 等がいます。

〇今後も若手監督が高い水準の作品を制作し、世界の映画界で、韓国映画は引き続き注目されるでしょう。