不動産業務に関係する国家資格は、
不動産鑑定士、宅地建物取引士、土地家屋調査士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者等複数ありますが、筆記(選択)試験の一発勝負でかつ難易度が高い資格は
マンション管理士 です。
士業として独立開業して稼ぐのはそれほど簡単なことではないため、取得の是非はありますが、金融・不動産関係や経営全般の業務を行う上では、知識習得は役に立ちますし、またマンション購入・売却においても威力を発揮する資格です。
私も数年前に資格取得しましたが、初受験は不合格でした。
合格及び不合格両方の経験者として、合格した方法についてつぶやいていきます。
マンション管理士とは
そもそもマンション管理士とはどういう資格でしょうか。
国土交通省のホームページによると
専門的知識をもって、管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とするものです。
つまり、マンションの管理組合側に立ち専門的にアドバイスをすることです。
一方、マンション管理業者として管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行うものが管理業務主任者です。
管理業務主任者の試験は、マンション管理士試験を勉強すると多くの部分を学びます。またマンション管理士の翌週が管理業務主任者の試験となりますので、あえて難易度の低い管理業務主任者専用の勉強をすることなくダブル受験すれば合格可能です。
私もダブル受験で両方合格しました。もし管理業務主任者のみの合格の場合は、翌年のマンション管理士試験の問題5問(/50問)が免除され合格確率が高まります。
マンション管理士試験内容について
公益財団法人マンション管理センターによると
①マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
②管理組合の運営の円滑化に関すること
③マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
④マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
を出題するとなっています。
もうすこし具体的に説明すると
内容 | 配点 | |
① | 「区分所有法」「標準管理規約」「民法等不動産関係法」 | 26問 |
② | 「マンション標準管理委託契約書」 会計・税務 | 4問 |
③ | 建築設備維持保全「都市計画法」「建築基準法」「水道法」「消防法」 | 15問 |
④ | マンション管理適正化法 | 5問 |
このうち①は特に重要です。また、②は確実に点数を取りたい項目です。
一方、③は雑多な問題が出ており、座学では難しい項目となります。
①②④である程度の割合を稼ぎ③を半分取ることができれば、合格が見えてきます!
受験者状況
ここ数年の状況は次の通りです
年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格最低点 |
---|---|---|---|---|
2017 | 13,037 | 1,168 | 9.0% | 36点 |
2018 | 12,389 | 975 | 7.9% | 38点 |
2019 | 12,021 | 991 | 8.2% | 37点 |
2020 | 12,198 | 1,045 | 8.6% | 36点 |
2021 | 12,520 | 1,238 | 9.9% | 38点 |
2022 | 12,209 | 1,402 | 11.5% | 40点 |
2021、2022年と合格率が上昇し、10%を超えましたが、この流れが続くかどうかはわかりません。依然10人に1人の合格率の低い試験です。
初年度の勉強法 不合格の道のり
約半年間の勉強でしたが、
勉強方法として唯一市販の参考書と一問一答を利用しました。
TACのマンション管理士テキスト及び一問一答問題集です。
この市販の書籍についてはほぼ完璧にして臨んだつもりでしたが、2点足りずに合格できませんでした。ただし、一冊しっかり習得することも大切で、これによってある程度勝負できる水準となったように感じます。
次年度の勉強法 合格への道のり
市販の受験教材だけでは合格は難しそうなため、通信講座を利用しました。
色々比較して検討しましたが、コスパも含めて購入したのが、
フォーサイトの通信講座 です。
授業を音声で聞くこともでき、テキストも理解しやすく非常にまとまっています。
市販教材に比べても、分量を生かして詳しく解説してあります。
また、追加購入した市販教材は
住宅新報出版の 楽学シリーズ です。
この組み合わせはとても相性が良かったと思いますね。
この物量作戦により、先ほどの①②の項目は自信をもつことができ、
2回目で合格を勝ち取ることができました。
合格のための注力分野
先ほども少し説明したとおり、「区分所有法」「標準管理規約」を
しっかり学習して理解することが、とても大事になります。
マンション管理組合において、この2つはマンション管理の基本ルールとなり
マンションに住んでいる人にとっては、とても身近な法律でもあるため
楽しく(といっても大変でもありますが)学べると思います。
マンション管理適正化法は必ず5問でますが、基本を押さえておけば5問正答も
十分可能性があります。会計・税務は2問でますが、これも似たような問題が
多いため、できれば2問とも正答したいですね。
一方、実務を行っていない場合苦戦するのは、建築設備維持保全関連 です。
驚くほど試験毎に未出題問題でテキストにもないものが出てきます。
こういう問題は手が出ません。
これは当たれば良いという気持ちで解いていました。
多く正答することに越したことはありませんが半分取れれば良いのではと思います。
〇マンション管理士は誰でも受験でき合格率が10%前後のため高難度の資格
〇不動産関連の法律が中心であり有意義な学習ができる
〇経験則から、市販の教材と通信講座の併用で合格可能性は高まる
〇項目によって時間にメリハリをつけ効率的な学習計画をたてよう