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デェイミアン・チャゼル監督 みんな大好き映画「ラ・ラ・ランド」

2023年春に日本で4年ぶりチャゼル監督の長編映画「バビロン」が公開されました。

新しい作品ができると期待で胸躍る、必ず観賞したい若手監督の一人です。

1985年、米国ロードアイランド州プロバンス生まれ。2007年ハーバード大学卒業です。ハーバードの卒論の一環でミュージカル映画を制作しました。その後数作脚本を制作しましたが、プロとして最初に監督・脚本した長編映画は2014年制作(日本では2015年公開)の「セッション」です。

セッション以降のチャゼルの傑作映画をみていきたいと思います。

DAMIEN CHAZELLE

セッション

2014年米国制作、監督・脚本がデェイミアン・チャゼル、ソニーピクチャーズが配給です。日本では2015年にギャガの配給で公開しました。上映時間106分。

原題は「Whiplash」。「ムチ打つ」という意味で、ジャズ作曲家のハンク・レヴィが制作した曲名でもあり、ジャズドラムを打ちまくるイメージを醸し出しています。

Whiplash

ストーリー

19歳の主人公ニーマンが、ジャズドラマーになることを夢見て名門音楽学校シェイファー音楽院に入学する。最高の指導者といわれるフレッチャーの指導を受けるが超絶パワハラの狂気のレッスンだった。アンドリューも狂おしく練習し上達していくが、悲劇が襲う!

音楽への魅力と中毒性を見事に描いたヒューマンドラマですね。

俳優

主人公ニーマン役にマイルズ・テーラーを起用しました。

マイルズ・テーラーは2022年公開の「トップガン マーヴェリック」でグースの息子であるルースターを好演しています。

指導者フレッチャーにはJ・K・シモンズが演じました。この作品で数々の賞を取り、その後人気俳優としてザ・コンサルタント、ラ・ラ・ランド、パーム・スプリングスなどの良作に出演しています。

賞レース

第87回アカデミー賞作品賞候補に選ばれ、助演男優賞、編集賞、録音賞の3部門受賞しています。また、第30回サンダンス映画祭観客賞及びグランプリを受賞しています。

J・K・シモンズは、アカデミー賞の他にも、第72回ゴールデングローブ賞、第68回英国アカデミー賞、シカゴ映画批評家協会賞、ボストン映画批評家協会賞、デトロイト映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、インディペンデント・スピリット賞、全米映画俳優組合賞、等多くの助演男優賞を受賞しました。

日本では、第89回キネマ旬報ベストテン第7位、また、日刊スポーツ映画大賞外国作品賞を受賞しています。

ラ・ラ・ランド

セッションでもその片鱗を見せていましたが、ミュージカル映画の大ファンであるデェイミアン・チャゼルが待望のミュージカル映画を監督・脚本したものが「ラ・ラ・ランド」です。脚本を作成したものの、なかなか配給会社が見つからなかったが、「セッション」の成功によりサミット・エンターテイメント(米国)が制作・配給を担当しました。

2016年公開(日本は2017年)されました。第73回ヴェネチア国際映画祭でオープニング作品としてワールドプレミア初上映され、評論家から絶賛されました。上映時間128分。

La La Land

ストーリー

冬⇒春⇒夏⇒秋 とすすみます。いきなりのロサンゼルス高速道路の大渋滞からダンスが始まり、女優を目指すミアがオーディションに受からず悶々としている日々、一方のジャズピアニストのセブは自分の思い描くジャズクラブを経営したい夢を持つ。その2人が偶然に出会い恋に落ち、そして別れるというドキドキ感一杯のラブミュージカル映画です。

渋滞での曲「Another Day of Sun

セブが埠頭で歌う「City of Stars

セブとミアが自宅でデュエットする「City of Stars

ミアがドリーマーとして歌う「Audition (The Fools Who Dream)

等、名曲ぞろいです。

俳優

セブにライアン・ゴズリング、ミアにエマ・ストーンを配役(ミアには当初エマ・ワトソンにオファーしていましたが美女と野獣の出演のため降板しています)。また、J・K・シモンズが「セッション」に続きセブが働くレストランのオーナーとして出演しています。

音楽はハーバード時代の親友ジャスティン・ハーウィッツが「セッション」に続き音楽を担当しています。

賞レース

第74回ゴールデングローブ賞は、ミュージカル・コメディ部門作品賞・主演男女優賞、そして監督賞、脚本賞、主題歌賞、作曲賞と7部門受賞の圧勝でした!

第70回英国アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、作曲賞、撮影賞の5部門受賞

第89回アカデミー賞では、作品賞は「ムーンライト」に取られましたが(この時、生放送の表彰式で作品賞「ラ・ラ・ランド」と発表後、間違いとの訂正があるという大チョンボをやらかしています)、史上最多14部門にノミネートされ、監督賞、主演女優賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞の6部門受賞しました。

作品賞ではトロント国際映画祭、ニューヨーク映画批評家協会賞、放送映画批評家協会賞等で受賞しています。

主演女優賞では、ヴェネチア国際映画祭で受賞しました。

日本では、第91回キネマ旬報ベストテン第1位日本アカデミー賞最優秀外国作品賞毎日映画コンクール外国映画部門映画ファン賞 等受賞しています。

ファースト・マン

デェイミアン・チャゼル監督ライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ2018年公開(日本では2019年)の伝記映画です。ただ、「セッション」「ラ・ラ・ランド」と異なり、脚本は「スポット・ライト 世紀のスクープ」「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のジョシュ・シンガーが担当しています(原作はニール・アームストロングの伝記)。上映時間141分。

First Man

ストーリー

人類最初に月面到着したニール・アームストロングの半生のドラマ。本人のみでなくNASA職員を含めた犠牲を伴う奮闘を描く。

俳優

ニール・アームストロングに「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング、その妻に「ウーマン・トーキング 私たちの選択」、デレビドラマ「ザ・クラウン」のクレア・フォイを配役。

賞レース

2018年のヴェネチア国際映画祭のワールドプレミアで公開。翌月のトロント国際映画祭で先行上演されました。

賞レースは後半失速し、主要部門には届かず。第91回アカデミー賞では視覚効果賞を受賞しました。

バビロン

2022年にパラマウント・ピクチャーズからデェイミアン・チャゼルが監督・脚本で公開されました。

ブラッド・ピットマーゴット・ロビー 等スターを配役した超大作。

サイレントからトーキーに移行した時代のハリウッドの映画とジャズの魑魅魍魎を描く。

BRAD PITT

ストーリー

1920年代のハリウッドのサイレント映画大スタージャックは連日開かれるパーティの主役として栄華を誇っていた。スターを夢見るネリーは若さと奔放さにより輝きを増しスターへの道を駆け上がっていく。しかし、サイレントからトーキーに映画が移り変わるとともに、人気スターも移り変わっていく。

俳優

サイレント映画のトップスタージャックにブラッド・ピット

大スターとなる新人女優にマーゴット・ロビー

サイコパスなカジノオーナーにトビー・マグワイア

さらに、ディエゴ・カルバジョヴァン・アデボジーン・スマートリー・ジュン・リー等豪華俳優を起用しています。

MARGOT ROBBIE

賞レース

第80回ゴールデングローブ賞では作品賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞と4部門ノミネートされ、作曲賞を受賞しています。

ただ、やや下品な映像等が評論家に合わなかったのか、その後賞レースでは伸び悩み、第95回アカデミー賞では作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の3部門のノミネートで終わっています。

音楽は引き続きジャスティン・ハーウィッツが担当していますね。

賞レースの結果は残念ですが、映画・音楽・ジャズ・ダンスとチャゼル映画を集大成させた大作で、とても魅了されるストーリーです。

ディミアン・チャゼル監督作品は必ず観たい作品です。

特に「ラ・ラ・ランド」はチャゼルの傑作で、アカデミー賞監督賞を受賞しました。

そして「バビロン」はチャゼルの集大成の玉手箱のような作品です。